大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

札幌高等裁判所 昭和37年(ラ)50号 決定 1962年12月26日

抗告人 佐藤繁雄

主文

本件抗告を棄却する。

抗告費用は抗告人の負担とする。

理由

本件抗告の趣旨並びに理由は末尾記載のとおりである。

当裁判所のした事実上及び法律上の判断は左記の点を補足するほかは原決定の理由と同一であるからこれを引用する。

滌除権者への抵当権実行の通知は第三取得者に対し滌除権を行使し得る機会を与える趣旨のものであるから、右通知には抵当権を実行せんと欲する旨を明かにすれば足り、被担保債権の残存額を明示するを要しないものと解すべきである。

よつて民事訴訟法第四一四条、第三八四条、第九五条、第八九条に従い主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 川井立夫 裁判官 臼居直道 裁判官 安久津武人)

抗告人の抗告の趣旨および事実

抗告の趣旨

札幌地方裁判所小樽支部昭和三六年(ヲ)第七三号不動産競売手続開始決定に対する異議申立の却下決定はこれを取消す。

右同庁昭和三六年(ケ)第四三号不動産任意競売事件の競売手続開始決定はこれを取消す。

相手方の本件不動産競売申立はこれを却下する。

右趣旨の裁判を求めます。

事実

一、抗告人の主張する事実は左記の点を除き原決定記載のとおりである。

(一) 抗告人が本件競売目的たる不動産を申立外高橋岩雄より買受けて所有権を取得したのは昭和三十三年十月三十一日である。

(二) 相手方が本件競売目的たる不動産によつて担保される被担保債権額を故意に増大して弁済を要求した結果、法定期間内に任意弁済又は滌除をなし得なかつたものである。

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例